工法の紹介
RC部材のひび割れ補修
劣化したRC床版のひび割れ損傷
道路橋RC床版は、輪荷重走行によりひび割れが発生し、漏水に伴い遊離石灰も発生しています。
ひび割れには、下面から発生するひび割れやRC床版内部に発生する水平ひび割れがあります。とくに、床版内部に発生する水平ひび割れについては発見しにくい損傷であります。水平ひび割れはRC床版の寿命に大きく影響します。
これらのひび割れ補強法には浸透性接着剤注入によるひび割れ補修工が必要です。
浸透性接着剤KSプライマー
浸透性接着剤には,浸透性KSプライマーを使用します。この接着剤は0.05mm以上のひび割れに浸透します。
浸透性KSプライマーは「垂直方向のひび割れ」の他にRC床版内部に発生する「水平ひび割れ」にも浸透し,コンクリートを強固にします。
浸透性接着剤ひび割れ工法
(1) 低圧注入工法
低圧注入工法は専用の低圧注入器具を用いてひび割れ交差部などに設置し,事前調査により水平ひび割れの発生が確認された場合はφ3mm 以上の孔を開け,奥深くまで浸透させる必要があります。
RC床版のひび割れ補修やボックスカルバートなどのひび割れ補修など,幅広く採用されています。
(2)圧力調整注入工法
圧力調整注入工法(SAPIS)は,ひび割れ補修用接着材やコンクリート改質材をひび割れ幅の状況に合わせて圧力を調整しながら注入し,順次,注入機を移動させながらひび割れ補修を行うものである。
注入機を繰り返し使用するため廃棄物が発生しないので,環境にも優しい装置である。
RC床版、ボックスカルバート,トンネルなど のコンクリートひび割れ補修として低圧から高圧の幅広い圧力での注入が可能な装置である。 また,補修剤には浸透性KSプライマーを使用することで0.05mm以上のひび割れ補修が可能である。
ボックスカルバートの損傷状況
溝橋(ボックスカルバート)でも,RC床版と同様 にひび割れ損傷が発生し,さらに漏水により遊離石灰も発生しております。
ボックスカルバートのひび割れ補強法には,浸透性KSプライマー注入法によるひび割れ補修方法があります。
ひび割れには,下縁から発生するひび割れの他に,水平ひび割れなど,目視では確認出来ないひび割れが発生しています。
ひび割れ補修手順
ボックスカルバートのひび割れ診断を適切に行う必要があります。ひび割れ状況を写真撮影し,画像処理により,樹脂注入目安となる0.1mm程度のひび割れを抽出します。
例えば,ひび割れ補修計画では、ひび割れ分岐点を赤、線上を青で示し,交差部については樹脂注入孔をマーキングします。
補修手順は,ドリルで孔を30mmから40mm穿孔し,浸透性 KSプライマーの注入路を設ける。(RC床版の場合は水平ひび割れが発生することから圧縮鉄筋位置まで穿孔することも 考えます)
注入器具取り付けした後,浸透性KSプライマーを注入する。この接着剤は水平ひび割れに浸透することも特徴です。
樹脂注入状況です。このボックスカルバートは、実験で破壊させた後に、ひび割れ補修を行ったものです。
浸透性KSプライマーは主剤と硬化剤で構成されていることから、浸透状況を確認しながら順次追加する必要があります。
補修後、再実験を行い、破壊後にひび割れ 補修箇所を切断した結果、浸透性KSプライマーは0.05mm以下の複雑なひび割れに良く浸透しているのが確認されました。なお、浸透性KSプライマーは0.05mm以上のひび割れを基準としております。